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誤解されることもある「インフルエンザの検査結果」

インフルエンザウイルス感染症が流行しています。

当院としましても、早い診断と早い治療開始で、お子さんを少しでも早く楽にしてあげたいと努力しております。

そこで、検査を行うこともあるのですが、その検査結果が誤解を生じてしまう場合があると思いますので、紹介します。

 

例えば・・・「発熱に気づいてすぐに検査をした場合」

検査キットや機器には色々なものがありますが、標準的には「発熱から12時間以上」経過してからの方が、結果は信頼できます。

それは、原因となるウイルスや細菌が十分に増え、「抗原」というウイルスや細菌に付いている「検査で見つける印」みたいなものがたくさん出てきていると、検査でつかまえやすいからです。

ですから、「早すぎる検査」では、結果が「陰性」であっても、「はっきりいるとはいえない」という意味で、「いない」という解釈は正しくありません。

「インフルエンザではなかった」と言い切れないのです。

 

例えば・・・「発熱はないけれども、元気がなくって、咳と鼻水が出ている場合」

これは難しいと思います。

インフルエンザウイルス感染所の初期の可能性もありますし、インフルエンザウイルス感染症以外の可能性もあります。

そして、インフルエンザの検査をしたとしても、前述のように検査のタイミングが早すぎて、「偽物の陰性」となるかもしれません。

インフルエンザウイルス感染症以外にも、そのような症状を作り出す病気は、たくさんあります。

インフルエンザウイルス以外の感染症、アレルギー、異物誤飲などです。

さらに、小さいお子さんですと、中耳炎を合併していて、痛みで元気がなくなっていたり、機嫌不良になっていたり。

もっと考えますと、長いこと咳と鼻水が出ていたので、それとは別の原因で元気がなくなっている場合もあるでしょう。

「インフルエンザのはずだ」「インフルエンザの検査をすれば良い」というのは、誤った思い込みの可能性があるでしょう。

 

例えば・・・「発熱から十分に時間がたってインフルエンザの検査をして陰性だったからインフルエンザではない!本人は、元気も食欲もないし、鼻水や咳、腹痛、下痢、嘔吐、頭痛、体の痛みの訴えもあって、通学先でも家族内でもインフルエンザウイルス感染症が流行しているが、という場合」

これも難しいと思います。

検査は万能ではありません。

患者の活気、食欲、症状、所見、他の方との経過の相違、流行歴などを含め、インフルエンザウイルス感染症と判断して矛盾がないとすれば、検査結果が陰性であってもインフルエンザウイルス感染症と診断することがあります。

その場合も、診断に至ったのですから、処方や出席停止、外出を控える期間を考えます。

一方、インフルエンザとして治療開始した後の観察も大切です。他の病気で悪くなってしまう可能性もありますし、薬による副作用も出てしまったりするかもしれません。また、安心のために、やたらめったら抗インフルエンザ薬を摂取していくと「耐性ウイルスを増やす」ということに繋がっていってしまいます。

 

こうして考えますと、インフルエンザウイルス感染症を診断するには、普段の状態との比較、流行情報、診察、検査のタイミングなど、多くのことを合わせて判断されることが大切だと思います。

インフルエンザウイルス感染症について、テレビやネットで多くの情報が流れています。

しかし、「グッタリしていたり、明らかにおかしいときは医療機関へ」とはいえると思いますが、診断には、「全員に画一的に同じような判断基準があるとは言いきれない」「万能な検査はない」ということを前提に、「物事には曖昧な部分はあるので、安易に思い込まず、観察し、その都度それを考え、判断しつづけていく」ということが大切なのでしょう。

実際には難しいことだと重々わかってはいます。なるべく、みんなで、そのように心がけることが肝要なのでしょう。