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日本脳炎ワクチンの「出荷調整」について

報道にもありますように、日本脳炎ワクチン「ジェービックV」の製造過程で微生物が混入していたことが分かったため、製造がいったん中止になりました。すでに、原因微生物は判明し、製造過程の改善も行われたようです。しかし、いったん中止したことにより、約8か月間、同ワクチン流通が止まってしまうことになりました。これは、同ワクチンの製造が、日本脳炎ウイルスを培養するなど「1からのワクチンづくり」を必要としており、それを止めたため、元の「原液づくり」から必要となり、再度、ワクチンを完成させるには長期間を要するということのようです(bnw_supply.pdf)。
日本脳炎という病気は、ある種類の蚊がブタを刺し血を吸い、そのあとに人間を刺すと、日本脳炎ウイルス(フラビウイルスの一種)を注入することにより、人間の「脳」に感染をおこし、後遺症や死に至らしめるというものです(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/449-je-intro.html)。2001年以降に、日本でも数件報告されており、そのワクチンは非常に重要です。
同ワクチンは、通常、2回接種していましたら、次の接種まで開けることができます。勿論、2回目のワクチン接種から1年後を目安に接種するのが通例ですが、そのタイミングで接種できない方もいらっしゃいます。今回、数年という間隔があいてしまうわけではありません。接種したことがない方、2回目がまだの方は、医療機関に確認してしっかり接種し、4歳の1期追加(3回目)、9-12歳の2期の方は、大きく範囲を逸脱しない限りでは、慌てないで、流通の回復したタイミングで接種されると良いと思います。
しかし、2回目を接種してから4年以上経過しているですとか、13歳を超えてしまう、東南アジアへ留学・旅行・出張・転勤などがある場合、医療機関に相談し、接種を勧めた方が良いという可能性もあります。
同ワクチンは、もう1種類あります。「エンセバック」というもので、シェアが少ないものの流通し続けます。勿論、ジェービックの出荷調整をうけ、このエンセバックも品薄になることは考えられます。しかし、一定数の流通は守られるわけです。日本のルールでは、接種するワクチンの種類が異なったとしても、合計回数に至れば効果はあるとされています。
当院では、「出荷調整」などの場合、お子さん本人も保護者も医療機関も大変という事がありますが、薬品の卸会社、製造する企業も含めて大変な状況であることを鑑み、当院で過剰にワクチンを貯蓄するなどはせず、冷静な対応を行わせて頂きます。まずは、同疾患に対する免疫力のない(弱い)「未接種の方」と「2回目の接種がまだの方」に集中させて頂きたいと思います。COVID-19の流行ですでに大変な状況ですが、一歩一歩、みんなで協力し合って、目の前の困難を越えていきましょう!どうぞ宜しくお願い致します!